暗がりを照らされる

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 つむじから記憶がたちのぼり、忘却するのであれば、どんなに喜ばしいことか。   「結局、人は誰もが、無意識という名の記憶から自由になれんのです」 (クラフト・エヴィング商會『クラウド・コレクター 雲をつかむような話』)  このところ、ふとした瞬間にアイツのことを思い浮かべていた。フリさんは「今でも想いつづける」と言ってたけど、そんな良い感情のものではない。  そんな状態の中、俺は更に、アイツのことを考えざるを得ない状況になってしまった。
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