本 篇

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つばさ「だったら、私が全部のロブを返します」 春留子「いや、全部はムリでしょ」 つばさ「(大声で)『いつまでも、じっとしてちゃダメだ』って!」    驚く春留子。 つばさ「言ったのはコーチです。今はペアなんです。もっと私を頼ってください」    手を差し出すつばさ。    手を取る春留子。 春留子「分かった。じゃあ任せる」    ×  ×  ×    一進一退の攻防。    つばさのスマッシュが決まる。    ハイタッチするつばさと春留子。    『南野×名木沢ペア 九対十一 南野×追倉ペア インターバル』の文字。    ベンチに座る春留子とつばさ。少し息が上がっている。    コート上、無表情で立つ南野と双羽。    名木沢がコート上の双羽を見つめている。    つばさも双羽を見つめる。 つばさ「あの子、何か……」    ×  ×  ×    ラリーが続く中、つばさのヘアピンがネットを越える。双羽が拾おうとするがシャトルはコートに落ちる。    ハイタッチするつばさと春留子。    名木沢、黙ってコートを見つめている。    つばさからのサーブ。が、つばさが急にサーブの姿勢を解く。 春留子「つばさ、どうした?」 つばさ「あの子のことで気になることがあって」 春留子「言ってみな」 つばさ「(名木沢へ)あの私の気のせいかもしれないんですが」    名木沢がつばさを見る。 つばさ「この子、無表情だけどすごく楽しそうにプレーしてるって感じるんです」 名木沢「どうしてそう思うんだ?」 つばさ「わたし、ずっと一人で練習してきて、今、すごく楽しくて。きっとこの子も、同じ気持ちなんじゃないかなって」    ハッとする名木沢。    立ち上がる双羽が、名木沢を見つめる。    一瞬、双羽が汗まみれで笑う(ように見える)。    驚く名木沢。 春留子「じゃあ、私たちも最高のプレーで、相手に応えないとね」 つばさ「はい、コーチ!」    お互いの顔を見るつばさと春留子。    ×  ×  ×
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