本 篇

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   ラリーを黙って見つめる名木沢。名木沢の視線の先、双羽が活き活きと楽しそうにプレーしている(ように見える)。 名木沢「そうか、私はもう一度見たかったんだ」    笑顔の双羽、前後に動きレシーブやスマッシュの動きを見せる。 名木沢「楽しそうにプレーする双羽の姿を」    少し悲しげに微笑む名木沢。    ×  ×  ×    『南野×名木沢ペア 一七対二〇 南野×追倉ペア ゲームポイント』の文字。    懸命にシャトルを追う双羽、ロブで返す。    シャトルが、春留子の上空に飛ぶ。    つばさ、下がろうとするが、 春留子「つばさ!」    と声が掛かり立ち止まる。    春留子の視線の先に天井照明。が、しっかりとシャトルを見つめる春留子。 春留子(M)「見えた!」    春留子の強烈なジャンピングスマッシュ。    南野の横をかすめ、床に落ちる。    汗まみれで息が上がりながら笑顔を見せる(ようにみえる)双羽。    満足そうに微笑む名木沢。    笑顔で、強く握手するつばさと春留子。 ○校庭    正門付近、名木沢の運転するトラックが去って行く。トラックを見つめる春留子とつばさ。 つばさ「治療方法は構わないんですか?」 春留子「後からでも聞ける。それに何だか今は調子が良いんだ。私も帰ろうかな」 つばさ「指導の話は?」 春留子「ぼんやりしてたら、つばさみたいな子にすぐ追いつかれちゃう。だから、今日で解消」    つばさ、しょんぼりする。 春留子「それとね、つばさ!」    春留子、つばさを見つめる。 春留子「つばさは、ダブルスを組むべきだ」 つばさ「ダブルスですか?」 春留子「つばさはパートナーのことを観察して、支えられる。この長所を忘れないこと。分かった?」 つばさ「はい!」    笑顔になるつばさと春留子。 ○追倉家・前(夕)    家の前につばさ、つばさの母、つばさの父。    二輪車にまたがる春留子。    春留子、手で合図をして、走り去る。 つばさ(N)「『一週間の使用を取りやめること』。それが治療法だったと、後にコーチから聞いた」
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