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花に対しての知識がない私は、両親の営む花屋で手伝いをしている友人に一任することにした。
「誰に贈るの? 大学の先生? 友達? ああ、母の日も近いからお母さん?」
私とあの子はどういう関係なんだろうか。友人が一番近い気がするがどうだろう。以前は後輩で良かったのだろうが、それぞれが違う大学に進学してしまった今は、それも相応しくない気もする。
「私の高校の時の後輩で……」
友人は頷いた。彼女が同じ高校に通っていたのなら「私の隣に居た女の子」と言えば伝わるのだろうが、大学からの友人なのでそうもいかない。
「戦わない好敵手?」
「は?」
「熟れて腐りきった腐れ縁?」
「……なにそれ?」
私とあの子の関係を一言で表す言葉を、私は持っていなかった。私の中ですら整理がついていないのだ。
「あんたは不器用すぎて、時々何言ってるのか分かんないのよ」
言って友人はやれやれといいたげに大袈裟に肩をすくめて、ため息を吐いた。
「少し長くなるけど、聞いてくれる?」
あの子のことを思い出しながら話そうとする。
「お客さんが来るまでだよ」
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