私のものよ!

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 ああ、そうだ。私は納豆ごときで、いや、憎き納豆で、大切なものを決定的に失ってしまったのだ。  そこに、亘がテーブルの上に置いていたスマホが振動した。亘は電話に出る。店内にもかかわらず、ひそひそ声で話し始める。 「うん、今物件の近く。昼めし食ってる。いや、それがトラブっちゃってさ。早く片をつけようと思って話し合ってるところ。うん、大丈夫。絶対手に入れるから。いい物件だよ、ぜひ見てほしいな」  あ、そうか。今、彼女と話しているんだ。すごく親しそう。私は、亘が私以外の女性とこんなに親密に話をするところを初めて見た。しかも、私の前で平然と。そうか、亘にとっては、私とのことはもう終わったことだったのか。  なのに、さっきの会話は、まるでつき合ってたころのような気安さがあって、それで私は危うく誤解してしまうところだったのだ。  キャラメルミルクティーは、すっかり冷めている。
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