46人が本棚に入れています
本棚に追加
そこでばったりと遭遇したのは、亘とあの女の人。彼女は今日は黒いコットンのワンピース。なんて洗練されているんだろう。亘の用事って、彼女に会うことだったのか。私はそのまま顔を逸らして駆け過ぎようとした。背中に亘の声が響いた。
「おーい、瞳~。あの部屋は俺のものだからな」
言われなくてもそうしてやったわよ! と私は心のなかで叫んだ。
もう、見たくない。お部屋探しから、こんな展開になるなんて。あんな納豆男と話すのが、あんなに楽しかったなんて。そして、こんなに未練があったなんて。でも、もう遅かったなんて。
運命のいたずらにしか見えなかった。今日会わなければ、そのまま静かに忘れられたかもしれないのに。
最初のコメントを投稿しよう!