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そのとき、玄関口の方から話し声が聞こえて入ってくる気配があった。
「おや、開いている。おかしいな」
私より不動産屋のお姉さんの方が、ぎくりとした表情をして振り返った。
そこにはスーツを着て書類を持ったいかにも営業マンという感じのお兄さん、そしてその後ろでのぞき込んでいるのは!
「ああっ」
「うわっ」
声を上げたのは、私たちの方だった。
お姉さんとお兄さんは、こわばった目つきでお互いを一瞥した。どうもお互い違う不動産屋の営業マン、営業ウーマン同士らしい。
でも、それ以上に驚いて口をお互いパクつかせているのは、お客である私と、彼だった。そう、彼は、2年前に別れた私の元カレだったのだ。
こんな形で再会を果たすとは! 何の因果か運命か。
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