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「監督もね、茶目っ気のつもりが大騒ぎになってしまって流石に反省したのか、映画の稼ぎを使ってある計画を立てたのよ。――本当に『アポロニアン・パリス』という花を作ってしまおうって計画をね」
「じゃあ、今ある『アポロニアン・パリス』は……」
「その時に品種改良で作られた新種、という訳よ。花言葉もね、映画で出て来た『たとえ禁じられても貴方を愛す』があてられたんだけど……私らの世代には、むしろ違う方が馴染み深いわね」
「違う方?」
私の問いかけに、母はまたニンマリと笑ってから、こう答えた。
「うん。『アポロニアン・パリス』にあてられたもう一つの花言葉はね、『嘘から出た実』なの」
(おしまい)
※本作品はフィクションです。実在の人物、団体、作品、植物とは一切関係ありません。
※当然、「アポロニアン・パリス」の花も実在しません。作者の創作です。
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