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 それを聞いた母親は、突発的に、二度とそんな変なことを口にしてはいけないと翔太を叱ってしまった。翔太も、それを傍で見ていた父親も呆気に取られた様子であったのだが、翔太は黙ってすぐに頷いた。  翔太はその時、理解したのだ。自分が外の人とは違うことを。そして、お母さんをこれ以上悲しませてはいけないのだということを。  それからの翔太は、その話を二度と口にはしなかった。もちろん母親も同様であった。翔太は自分の身を守る為に、電化製品や携帯電話から発せられる光を避ける生活を送っていた。   「お母さん、おやつある? お腹減っちゃった」  階段から顔を覗かせる翔太の声に母親ははっとして、翔太に気付かれないようにアルバムを閉じた。 「はいはい、ちょっと待ってね」  リビングに舞い降りた翔太を見るなり、母親は急いた様子でアルバムを茶箪笥の引き出しにしまってから、静かにテレビを消した。
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