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転校は突然に
「紫苑、明日から桜花高校に転校よ」
朝食を優雅に食べながら母は言った。
「いやいやいやいや、明日の晩御飯はカレーよ。みたいなノリで言うことじゃねぇだろ。てか、聞いてねぇし‼」
「ちゃんと準備しなさいって言ってたじゃない。聞いてないアンタが悪い」
はぁ…呆れた、なんてスープを飲みながらジト目で俺を睨んでくる。
「もしかしてだけど、母さん達がアメリカに行くことも忘れてるんじゃないでしょうね?」
「は、アメリカ?なにそれ、どういうこと⁉」
母は頭を抱えながら説明をしてくれた。
夫婦で勤めてる会社の仕事で海外勤務になったそうだ。
「てか、なんで俺は日本なの⁉俺も連れてけばいいじゃん‼」
「…アンタ、英語喋れるの?」
「…………で、でも飯とかどうすんの⁉」
「英語はスルーなのね。全寮制だからご飯の心配はないわよ」
「全寮制って、この家はどうすんの」
「それは私達が海外に行ってる間は貸家になるのよ。既に契約済みだからアンタも出ないといけないのよ」
ごちそうさまでした、と手を合わせてからキッチンに向かう母を横目に今度は俺が頭を抱えていた。
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