117人が本棚に入れています
本棚に追加
プロフィール登録は簡単に終わってエントランス入ると、金剛寺さんは受付の人に話しかける。
「射手矢さん、前に話していた如月くんです」
「この子かぁ…うーん…」
なになに、ジロジロ見られてるんですけど。
「めっちゃ可愛いやん!!いや、美人系か?」
いや、疑問符つけられても知りませんし。
いや、ほんとは知ってます。
俺って母親に似て美人系なんです。
「射手矢さん前にも言いましたが、未成年に対しそういう発言はやめてください」
「なんで?可愛い、美人言ぅて何が悪いねん」
「そういう言動や過剰なスキンシップなどは相手次第では犯罪に繋がっていくんですよ。それに…身なりはある程度整えてくださいと、いつもお願いしている筈ですが?」
ヨレヨレのTシャツにボサボサな髪の毛と無精髭。
綺麗な顔をしているけど、これじゃ宝の持ち腐れって感じ。
「別にええやん。知っとる人しか会わへんのやから」
「そういう問題じゃ…」
「だって、面倒いんやもーん」
「………ちっ…いい歳したおっさんが…」
え、金剛寺さんが舌打ち!?
驚きつつ顔を見ると、俺は恐怖で凍りついてしまった。
それでも反省していない射手矢さんは飄々とした態度で書類整理や電話対応などをしている。
…仕事はちゃんとしてるんですね。
「とにかく、如月くんを部屋まで案内してください」
「はいよー」
「如月くん、もし困ったことがあったらすぐに連絡ください。特にこの人には注意してくださいね」
そう言って名刺を取り出し、裏にメモをして渡してくれる。
見るとLineのIDだった。
「酷っ…僕のこと何やと思うてんの」
「ご自分の胸に手を置いてみればわかるんじゃないんですか?」
「うーん………心優しい紳士な僕しか浮かばへん」
金剛寺さんがチベットスナギツネになっていた。
最初のコメントを投稿しよう!