羊の皮を被った狼

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羊の皮を被った狼

「はぁ…はぁ…ミートボールパスタを…1つお願いしますっ!!」 「か、かしこまりました…」 何故息が切れているかって? あ、別に聞いてない? 部屋を出てエレベーターを待ってたのに全然3階に上がってこなくて、これは完全に間に合わないと思って階段をダッシュで下りてきたんだよね。 呼吸の荒い俺を見て、食堂の人に引かれちゃったんだよね。 「…ゴク…ゴク……ぷはぁ……」 セルフサービスの冷たいお茶を一気飲みして、熱くなった体を落ち着かせていると 「お、きー君やん。今からご飯?」 声のした方を見ると、さっきより汚い格好をした射手矢さんが立っていた。 「ちょっと荷解きに時間が掛かってしまって…それより、なんでそんなに汚れてるんですか?」 「これか?子猫の鳴き声が聞こえて探してみたら土の中におってん」 「え、土の中!?」 「いや、敷地内やったし誰かが埋めたとかやなくて、親猫が穴の中で産んで、それが崩れて埋まったんやと思うわ」 「猫ちゃん達は大丈夫だったんですか?」 「もう親猫は居らんかったけど、子猫3匹は元気やったで」 はぁ…よかった…話を聞いて一安心してると、注文していたパスタの呼び出しベルが鳴った。 「あ、出来たみたいなんで取ってきますね」 パスタを受け取って席に戻ろうとすると、射手矢さんは何故か俺の隣の席に座っていた。
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