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「そんなに頬張ってネズミみたいやな」
そこはせめてハムスターにしてくださいよ。
早く自室に帰りたくておにぎりを急いで食べ、射手矢さんからアイスを受け取る。
「……………」
「……………」
気まずいんですけど…特に話題もなく無言でアイスを食べる。
少しでも早く食べ終わる為に、アイスを手で包み溶かせながらチューチューと吸っていると視線を感じた。
見てみると射手矢さんがニヤニヤしていた。
「…どうしたんですか?」
「ん?いやー、ええもん見れたなー思て」
「良いもの?」
キョロキョロと周りを見渡してみたが特に何もなかった。
「それ、美味しい?」
「…美味しいですけど?」
「あー、なんかちゃうねんなぁ…もっと恥じらう感じで言うてみて」
「え、なんでですか?」
ええからええからって全然良くない。
意味分かんないんですけど。
なんでPipico食べて恥ずかしそうに美味しいって言わないといけないわけ?
あー、もう本当にこの人面倒臭い!!!!
早く解放されたくてアイスの容器をギュウギュウと絞って口へと流し込み、ヤケクソで恥ずかしそうに言ってみた。
「お、美味しい…です…」
恥ずかしそうに言った自分に恥ずかしくなり、自分でも顔が赤くなってることに気付く。
それと同時に大量に流し込んだアイスが口の端から流れ、顎を伝う。
手で拭おうとしたら顎をクイッと持ち上げられ射手矢さんの顔が近づく。
「ぇ…」
次の瞬間には顎から口許に向かい、ぬるりとした感触が走った。
「な、なな、なにっ」
咄嗟に体を引いたが、驚きのあまり言葉が上手く出ない。
とりあえず離れなければと思っていても、パニクっているのか体が動かなくて距離が取れない。
「ちょっとおちょくるつもりやったのに…こりゃ、やばいわ」
そう言って、また顔を近づけ、今度は体重をかけてくる。
椅子の背もたれが邪魔をし、後ろに引きたくてもこれ以上動けなくて必死で顔を背けるが、グイッと手で固定されてしまった。
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