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こういうとき、「帰れない」とか「そばにいて」とか、男の肩にしなだれかかれる女が羨ましい。酔っぱらっているのに、声色にまで気をつかって平気を装うとする自分がいやになることもあるが、こういう性質なのだから仕方がない。
そのうち、前に立っていた青木がいなくなった。
ほら、呆れて帰ってしまった。持ち帰ったところで裸を見ても性欲のわかないような魅力のない女に対して、男なんてこんなものだ。
目を閉じたまま、大きく息を吐き出した。息さえも酒の味がする。後悔しても始まらないが、年齢とともに酒に弱くなったのは確かだ。次は気をつけよう。
そもそも、次はあるのだろうか。
連絡先を交換しても、きっとスマートフォンは一度も青木の名を表示しないで終わるのだろう。それでは、作戦失敗だ。
あれ、作戦てなんだっけ?
なんだかもう、どうでもよくなってきた。眠りたいぐらい。階段に寝転んでしまおうと身体を倒して、何か大きなものにぶつかった。
重いまぶたを開けて見ると、お茶のペットボトルのフタを開ける青木がとなりに座っていた。
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