第二章 偏見。そして、事件。

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「何だろう。誰かいるのかな?」  コンビニ裏の暗い場所を覗くと、確かに誰かがもがいている。  しかも、複数人が押さえ込んでいるような状況なのだ。 「助けッ! ……誰かぁ!」 (女の人が、襲われてる!)  どうしよう。 「……ッ、難波さんに!」  楓は、車に戻ろうとした。  だが、数名の男たちが声を荒げている。 「大人しくしろ!」 「殺すぞ、コラァ!」 (車に戻ってるヒマはない!)  楓は、急いで周囲に何かないか探した。  しかし映画のように、そこにはレンガも手ごろな石も落ちてはいない。 (はっ、ワイン!)  楓は男たちに気づかれないように近づくと、先ほどコンビニで買ったワインの瓶を振りかぶった。  そして、女性に乱暴を働こうとしていた男の後頭部を、思いきり殴った。 「うッ!」  瓶は派手に割れ、楓が殴った男は地面に突っ伏した。
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