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「探せ!」
「どこだぁ!」
「出て来い!」
一番奥の、倉庫の陰に身を寄せ合い、楓と征生は息を殺して潜んでいた。
ざりざりと、乱暴に地面を走る音が聞こえる。
楓は震えながら、征生にぴったりとくっついて離れなかった。
結んだ手を、離さなかった。
やがて、やや遠くから男の声がした。
「おい、山崎がヤバいぞ。頭から血ぃ出てる」
その声に、楓を探し回っていた男たちの注意は逸れた。
「病院、連れてくか?」
「やべぇ、って。どれくらいヤバいんだよ」
次第に複数の足音と声は遠ざかって行く。
楓がホッと息をついたその時、怒号が響いた。
「絶対探し出してやっからなぁ! 覚悟しとけよ!」
きゅっ、と再び竦んだ楓を、征生の長い腕が包んだ。
(あ……)
気が付くと、その体は征生にすっぽりと覆われてしまっている。
息が触れ合うほどに近い、その距離。
思わず赤くなる、楓だった。
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