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テキストを閉じ、楓は大翔とともに勉強部屋の外に出た。
「大翔さん、先生、お疲れ様です」
「うん。難波(なんば)も来てよ。今から親父のトコに行くから」
「はい」
楓は、廊下でひたすら大翔の気配を守っていた、この男に会釈した。
彼は、難波 征生(なんば いくお)。
大翔のボディガードとして仕える、20代後半の男性だ。
細身だが、がっしりした体躯。
ひどく鋭い、目つき。
だが、時折見せる甘く優しいマスクは、人の心を和ませる。
そんな印象を、楓は征生に持っていた。
(難波さん、僕がいつも大翔くんにフェラしてることも、気づいてるよね。きっと)
そう思うと、顔から火が出る思いだ。
一体、何の先生だ、と思われているに違いない。
軽蔑されてるだろうな、と溜息をついた。
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