ミンク鯨の背骨

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~赤岩~  二〇〇二年の八月、僕は日本最東北端、知床岬にほど近い赤岩という場所にいた。そこには三軒の昆布番屋があり、そのうちの一軒で写真を撮りながら住み込みのアルバイトをしていたのだ。その番屋とは、かれこれもう七年目の付き合いになる。  赤岩は当然、知床国立公園の中に位置するため、道路と呼べるものは無く、地理的には全く陸の孤島と言っていい。公道の行き止まりにあたる羅臼町の相泊からは、船外機付きの舟で早くても三十分、潮や風の向きによってはそれ以上かかることも珍しくない。公共の電気、ガス、水道は無く、ディーゼル発電機、プロパンガス、沢の水が赤岩での番屋生活を支えている。もちろん昆布漁の夏期以外、人は住まない。  通常、昆布の漁期はだいたい七月の二十日頃から八月の末日までとなる。解禁日の『カギおろし』から盆前にかけては、羅臼方面より『追い昆布』と呼ばれる多くの漁舟が赤岩の入江を訪れ、浜も昆布を干すアルバイトの子供たちで賑わい、活況を呈している。  ここでの一日の仕事の流れを追ってみると・・・、
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