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課題は山ほど残っていたが、颯はその足で外へ出た。向かう先は学部四年生の時に見つけたゲイバーだ。結果が出ていないと嘆いた直後にこれだから、救いようがない。 まあ、時には息抜きも大切だ。酒は特に強いわけではないが、課題提出の徹夜明けなどストレス発散によく利用していた。 ここ数か月は来ていなかったが、マスターは颯を覚えていた。 「息抜きも大概にしないと明日辛いわよ」 カウンターに項垂れる颯の頭に、マスターの声が降ってくる。まだ一時間と経っていないのにもうすでに飲み過ぎている。 「まだ諦めてなかったの?」 視線を上げると、マスターが呆れ顔で覗き込んでいた。彼は颯の想い人を知っている。 颯はその体勢のまま返した。 「諦めるつもりなんてありません」 「せっかくのイケメンなのにもったいない。いつまでもだらだらしてるとホントに独りになっちゃうわよ?」 「よけーなお世話です」 「この子なんてどう?」
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