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――昼休み。
授業から帰ってきた颯はぐったりと机に伏せた。向かいの席でサンドウィッチを齧っていた同期が呆れたような笑みを向ける。
「よく続けられるよなあ、使い捨てるみたいに酷使されてるくせに。いくらバイト代貰ってるって言ってもさ」
「あー、まあ惚れた弱みかな」
友人はその言葉の意味を噛み砕くように、苦笑いを浮かべる颯をしばらくじっと見つめていた。
その顔が呆れからだんだん心配の色を装ってくる。
「よく折れないな。拒まれ続けてんのに」
「きっついな」
とけらけらと笑う姿を見て、さらに顔を顰める。理解できないと言わんばかりに。
「大体どこがいいんだ? 何を言っても否定形で返ってくるだろ」
「んー、でも本気で言ってるわけじゃないし。なんだかんだ言って、面倒見いいだろ」
「確かに面倒見はいいかもしれないけどなあ……」
同意はしつつも、やはり共感できないという風に首を振る。
「人間としてどうかと思うよ」
サンドウィッチを口へ放り込んで呟かれた声は本気のトーンだった。
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