【追加】主任×私×本音

7/11
1778人が本棚に入れています
本棚に追加
/112ページ
数日過ぎても私の頭から同棲の話が離れない。考えてはため息をつく、毎日これの繰り返しだ。 「美織、平国主任と喧嘩でもしたの?」 私の様子を見兼ねた裕香が、仕事中に隣の席から小声で話しかけてくる。 「別に喧嘩なんてしてない……けど」 「けど?」 「ん〜ここじゃ言えない」 私は一旦止めてた指を動かし、パソコンのキーボードを操作する。 「じゃあ仕事後に聞くわ。いつものところでいい?」 「OK」 仕事を終わらせて裕香と馴染みの居酒屋に行った。まずはビールを注文し、私は勢いよく飲んでいく。 「酔い潰れる前に話はしてね」 そう言って裕香は自分のペースでビールを飲む。 「……平国主任に一緒に住まないか?って言われた」 「あら、良い話じゃない。何をそんなに悩む必要があるの?」 「そうなんだけどさ、何か素直に喜べなくて……」 手に持っていたビールをテーブルに置き、私ははぁっと大きく息を吐き出す。そして話を続ける。 「正直に言うけど、前に杉村さんと付き合ってた時にさ、一緒に住まないか?って言われて途中から同棲してたんだよね。だけど結局すぐ別れて、気がつくと私の居場所も無くなって……その時味わった不幸のどん底が何か忘れられないというか」 言いたい事が上手く伝わったか分からないけど、私は本音を裕香に話した。
/112ページ

最初のコメントを投稿しよう!