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猫跳寺
一
「猫跳寺へはもう行ったのかい?」
色白で、青い瞳をしたスコットランドの大男が僕に尋ねた。
「明日ボートに乗って湖をまわる予定なので、その時に行くと思いますよ。夕方その予約をしてきました・・・」
僕はそう答えながら、テーブルの向う側に座る彼の顔を見上げた。背丈が百九十センチはあるであろう彼の顔は、食堂の天井から吊り下げられた光の弱い裸電球の下で、柔らかい微笑みをたたえていた。彫が深く、目鼻立ちがはっきりしていて、名前は思い出せないが、映画アラビアのロレンスに出てくる主演の男優にそっくりだと僕は思った。
「そうかい、ちょうど私も、明日湖に出るつもりでいたんだ。また現地で会えるかも知れないね」
「僕もそんな気がします・・・」
お愛想で、そう言ったわけではなかった。実際に僕と彼は、このミャンマーの、それぞれ別の場所で、三度も偶然の出会いを繰り返していた。
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