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その3
アキラ
間宮さんの定めた時間前だっていうのに…。
こんなに早く女性がなんでいるんだよ!
聞いて無いって!
...
どうやら向こうも急いでたらしく小走りだったんで、二人は互いに後ろへ結構な勢いで後ずさりしちゃった。
「ちょっとー、アンタ!女子トイレで何やってるのよ!」
「あ、あのう…」
「このヘンタイー!」
そう言うが早いか、この若い女性はヒールを纏った右足でオレの腰上めがけて強烈な横ケリを見舞った
”バシーン”
「いてー!」
そう声を漏らしながら、反射的に腰を屈めると、”あっち”の方も漏れそうになったので、気が付くと股間に手を当てていたんだ。
つい…。
...
彼女はすでに、その視線をオレの手にやっていた。
まずい…。
これじゃ、”勘違い”される…。
オレは咄嗟に悟った。
...
「あんたー、まさかここで変なコトやってたのか!どヘンタイ野郎めー!」
そして今度は反対側からヒールの足が飛んできた。
”バシーン”
「いてー!…あの、違うんですよ、ちょっと…、とにかくとなりのトイレ行かしてもらいます。我慢…、いえ、なにしろ”終わったら”外で説明しますので。ちゃんと…」
「よし、…私も用足したら外行くから。いいか、逃げんなよ!」
逃げるもなにも、こっちは借金返すまでここに鎖で継がれてるんだって!
...
とにかくもうヤバイって…
オレは用の足せない女子トイレから”となり”に全力疾走した…
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