久我さんという人

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ガチャッ あ、帰ってきた 時計の秒針が小さく響きわたる深夜1時 僕の隣人は毎日この時間に帰宅する 閉じていた目をパチッと開け、意味もなく掛け布団を鼻の辺りまで引き上げる 久我さん、おかえりなさい チラッと隣の部屋との間に隔たれた壁へ視線を送り心の中で呟いた 聞こえるわけないのに 壁の向こう側に居るって意識するだけでドキドキする心臓と、ふにゃふにゃにニヤけそうになる口元 年上だし、同性だし、仲が良いわけでもない ただ一言二言挨拶をする程度の関係 なのに、こんなにも僕の心を満たす存在 久我さんはそんな人
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