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僕の幼なじみは、うちの高校の生徒会長。
イタリア人のハーフで、金髪で切れ長の瞳は淡い青色だ。
見た目だけなら、童話に出てくる王子様のよう。
が、あくまで見た目だけだ。
性格はとことん冷たく、他人に興味が無い。
他の人の前で、愛想笑いすらしない。
そんな奴が何故会長を、と思うかもしれないが、うちの高校の生徒会は、全校生徒の選挙によって決まる。
立候補していようがしていまいが、強制的に。
だから、中身が冷徹でもその麗しい容姿で女子からの指名を総ナメし、会長になった。
しかも普通に頭が良い。
中身は人としても最低でも、見た目だけで人からの支持を集められるんだから、現実は残酷だ。
そして、そんな完璧な幼なじみを持って僕は、至って平凡な男子高校生。
いや、『平凡』というのはちょっと違うかもしれない。
僕は昔から超ネガティブ思考なのだ。
最初こそは普通に友達がいたが、僕のめんどくさい性格に嫌気がさしたのか、一人、また一人と周りの友達が減っていった。
が、幼なじみだけは、違った。
他人に興味がなく冷たい幼なじみは、僕を見捨てなかった。
ずっと気にかけてくれるし、登下校だって、声をかけられれば一緒だ。
あっちは単に、自分が人気者がゆえにこっちの状況を可哀想に思って同情でここまでしてくれてるだけなのかもしれないが、僕はそれだけで申し訳ない。
幼なじみと一緒にいる時に刺さる女の子たちの視線だけで死ねるメンタルの弱さに、自分でも嫌気がさす。
だが、そんな自己嫌悪にひたっている僕に、幼なじみはいつも言ってくれるんだ。
『俺がいるから大丈夫だよ』
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