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「アンタ、そろそろ受験だろう?遊ぶのも大概に……」
「受かるってわかってんだろ。てか、ゲームで遊んでるよりマシだろ」
「でも……」
「……行って来る」
「おー…なんか、随分とめかし込んでんな」
「でしょー!それと……弁当もバッチリ持ってきました!」
「ベントウ?……マジで?」
「まじまじ」
「…汚れるから、今日は中で遊ぶか?」
「ううん!いつもの公園がいい!」
「おー……」
もう、大人びてる感じか。
何か、女子って感じで、扱いにくい。
そういえば小学生の頃って、女子は男と違って大人びてたよな。
……むず痒い。
「…んじゃ、行くか。……ほら」
流石に手はもう繋がないか?
「……!うん!」
お、まだ…大丈夫か。
「あれー?アイリちゃんだー!!」
「!!!」
「お、ホントだ。ってか、手ぇ繋いでんじゃん!」
バッ
「ちちち違っ、!これは、その」
「あ!この前言ってたお兄さーん??めっちゃイケメンじゃん!オトナって感じ!」
「そうか?ま、年離れてっし、おじさんだろおじさん」
「ねね、お兄さんも一緒にモールで遊ぼうよ!アイリちゃん、良いよね??」
「おわっ!」
小学生ってこんなナマイキだったか?
いや、俺がコイツしか知らないからか。
とりあえずコイツの友人関係を崩すわけには………
「だめ!!!」
「っ!?」
「んだよ、感じ悪ぃな。………お前、ソイツと遊ぶ方が良いのかよ」
「…そ、そうじゃないんだけど……きょ、今日はダメなの!また明日っ!!」
そう言って俺の服の裾を掴んで走り出した。
「ゼェ……ゼェ……」
「…大丈夫、じゃ無さそうだな。飲み物買ってくる。……手、離せ」
「………」
フルフル、と頭を横に振る。
何か、今日はコイツがよく分からないな。
「……ブランコ、行くか?」
「………」
コクリ。
「なぁ、ずっと気になってたんだけど、何で俺と遊ぶ時、この公園なんだ?」
「……ここは誰もいないから」
「何か、答えになってなくね?」
「………なってる」
「ふーん。…………なぁ、俺、腹減った」
「……ぐちゃぐちゃかもしれないから、だめ」
「そんなん気にしないって。俺はお前の砂おにぎりだって食ったんだぜ?」
「う………」
「ほら……って、お前、これ………」
蓋を開けると、そこには彩りの良い立派な「お弁当」がそこにあった。
「すげぇな………いただきます」
「……お、美味しい……?」
「……美味い………」
「よ、良かったぁ〜………」
美味い。
何か、俺好みの物ばっかはいってる。
友達よりも、俺を優先してくれた。
この弁当だって、俺だけ。
俺、だけ。
「………俺のこと、忘れんなよ…?」
「え?」
「いや、なんでも。ほら、もう夕方だから帰るぞ」
「ただいまー……」
「……おかえり」
「まだ怒ってんのかよ」
「怒ってるというか、呆れたというか……好きにしたら良いさ。アンタの人生だ」
「おー………」
何か今日は、妙にアイツが『女の子』してたもんで、何だか変な気分で寝れなかった。
「いや、だいぶ離れてるし。ない。けど…」
もしアイツも俺も、大人になって。
そうなったら話はべつ………。
「いやいやいや!まぁ、でも」
大人になったアイツは、見てみたい気もする。
「………アホか俺は。寝よ」
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