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「おわー…、ここ、ホントに入って良いの?」
「ダイジョブなのだッ!そう思わせるのがヤツの狙いなのだからなッ!」
「お、もう少しだな」
「あのカゴみたいなのがそれ?」
「そうっぽいね。…っ、何か来る!」
シュルルル…
「茨の…人形?」
「アイリやばいよ…!こいつら襲ってくる…!」
「…っ!、まて、これは僕らをバラバラにするための罠だ…!」
「上等だ。やってやらぁ…!」
「久しぶりにヤツの攻撃を見るのだッ!昔から直接手を下さない戦い方だったなッ!」
「えー、私にはー??私も戦いた…」
「あっ、ちょ、…そこで待っとけっ!」
「っダメだよ。そこから動かないで」
「すぐに済まして来るのだ…ッ!」
「なんとか撒いてくるよ…!」
「えぇーー」
だんだん見えなくなる4人。
「えぇー……」
そして今形成された正面の一本道。
あからさまに誘われてるけど………。
「ま、行くしかないよねー」
というか、この茨の主…なんだっけ、しゅがり?しゅら?
「んんーー、しゅら、しゅり、しゅる、…」
「シュラーフじゃ」
「あそうそう、シュラーフ……」
「そうじゃ」
「………」
ん??
「おっとー……、鉢合わせた」
薄緑の長い髪、幼く小さな身体、茶色の瞳…。
この魔族が、シュラーフ。
「ハハハ、何をぬかしておる。妾の誘いに乗じただけじゃろうが」
「あはは……」
うわ、後でリリス以外の男どもから怒られそう…
「んで、何用で私をここまで…?」
「んー、ちと品定めをな」
「品定め……魔王に相応しいかとか?」
「ハハハ、勘か?恐ろしいのう」
「でもあなたも決定戦に出るんじゃ?」
「いや、権利はあるが、参加はせんよ」
「へ〜〜」
「っくく、なんじゃ、不満か?」
「いやー?」
「妾は時を経て力を蓄えるのじゃ。そなたと戦えばしばらく起きていないといけなくなるからのう」
「あはは、寝るの好きなんだ」
「もちろんよ。睡眠とは至極の褒美。それを邪魔されるわけにはいかないのじゃ」
「ふーん…」
「っと、無駄話は終わりじゃ。そろそろアヤツらも帰ってくるじゃろ……どれ、」
ぐい
「ん?」
え、なにこれ。
何かこれ…インフェルノ様再来みたいな感じが。
私より高いとこで座ってるとこに、頭を掴まれて顔を覗き込まれている。
幼・女・に…!!!
「なんじゃ、思ったより邪やのう」
「いやー、しょうがないと言うかなんというか」
「欲望に忠実なのは魔族にとって悪くはないよの。……ほう、茶の瞳とは、妾と似通っているな…」
「あのー、ほっぺたそんなひっぱらりぇるほ…」
「ハハハ、よく伸びるわい」
「……」
「茶の瞳に茶の頭。ふむ……見たことないな。ま、言うて転生してきたんじゃろうが」
「瞳も、妾のように暗い茶ではないしな」
「あのー、品定めの方っていつ終わります…?」
「ん?もう少しじゃ。大人しく……」
「っアイリ…、………」
「おい無事か…、……」
「逃げきれ…た、………」
「楽しかったのだッ……」
「あ、みんにゃほかえりー」
「ん?思ったよりも早いな」
「………シュラーフ、」
「なんじゃ?」
「その手、どけろ…!」
「離してくれないかな…?」
「ほっぺたぷにぷにだとッ!ワタシだってしたことないのだッ!ズルいのだッ!」
「なにその羨ましい状況……」
「ハハハハハ…!!どうじゃ?良いじゃろ。ほれほれ」
「いひゃいれふ」
えー…何してんの、皆して。
…………………………
「ま、魔王としての素質は言うてゼロじゃな」
「えぇ!?」
「力こそありはするが、征服欲や暴虐性とか、そういうもんは一切ないからの」
「当たり前なのだッ!アイリなのだからな!」
「ま、妾はそんなヤツが魔王になった方が面白そうで良いと思うぞ」
「いや、なるとは決まってないし…!」
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