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色で変わる花言葉
ユリは、玄関の前に立っていた。
目の前には、呆然自失の体で膝をついた夫の親友。
隣では義母が何事かをぶつぶつとつぶやき続けている。
耳を澄ませると、「なんで」や「うそ」などと言っているのが分かる。
ユリも同感だった。
まさかという思いで、胸の中はいっぱいだった。
まさか、新築の家の玄関でこんな凶行が行われるだなんて。
まさか、何も知らずに義母が花を持ってきていただなんて。
まさか、夫が何も対策を取っていなかっただなんて。
まさか、あんな簡単な暗号に、誰も気付かないだなんて。
まさか、こんなに思っていた通りに事が進むだなんて。
思いもしなかった。
念のために、義母を連れて家を空けておいてよかった。
ユリは、ひまわりのような笑顔でオレンジに笑った。
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