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教室の隅の白布くん
私の名前は牛島桜(うしじま さくら)
白鳥沢学園高等部2年生。
私の兄さんは白鳥沢学園高等部3年の牛島若利。
男バレの主将で全国三本指に入るエーススパイカー。成績優秀スポーツ万能のハイスペック。
自慢になるが私はそこまでお兄ちゃんっ子では無いので大好き、と言うわけではない。
別に嫌いなわけでもないが大好きにはなれない微妙な感情。
私のクラスには、とある男子がいる。
それは白布賢二郎くん、2年生でありながら男バレのスタメンセッター。
外部受験生だから成績も優秀。
兄さんと同じハイスペック、
だが、彼はあまり目立たない。
と言うか目立とうとしない。
人間のほとんどが目立ちたいはずだ。
なのに彼は目立てる場面があったとしても目立とうとしない。
バレーに関してもそうだ。
整ったコントロール、綺麗なトスワーク…
だが、目立たない。
彼が敵のスキをついたとしても、会場は盛り上がらない。
それは観客にはわからないからだ。
遠くからでは分かりずらいところでスキをつく、それが彼のプレイスタイル。
トス、トス、トス、トス!!
兄さんにたくさんトスを上げて、ブロッカーを油断させてからのツーアタック(セッターがトスを上げようと見せかけて自ら相手コートにボールを放ること)だ。
何故彼はそんなに目立とうとしないのか…
そんなの誰にもわからない…
彼はいつも教室の隅にいる。
白布くんは、兄さんのことが大大大好きなので私とは結構仲が良い。
白布くんに話しかけてみよう。
「ねぇ白布くん、」
「………」
どうやら小説に夢中になって気がついていないようだ…
「しーらぶくん!」
「うわっ…って…何だ桜か…」
「何だはないでしょ…」
「それ以外に反応の仕方が無い。」
「酷っ…」
「と言うか何の用だ。」
「別に、1人だったから話しかけてみただけ。」
「…そうかよ…じゃあ今日も部活後牛島さんとトス練するからマネも残っててな。」
「はーい、って今日も?毎日やってない?」
「別にいいだろ、俺は牛島さんに尽くすのが役目だ。その為には練習が必要なんだよ。」
「へー…まぁいいや。」
「…じゃあ俺は小説に集中するから喋りかけんなよ。」
「え、酷。そんなんだから友達出来ないんだよ。」
「友達なんかたくさんいる。お前が知らないだけで。」
「いやこの学校でだよ」
「だから友達いるだろ?」
「え、まじか。白布くん友達いたのこの学校に」
「いたよ、馬鹿にすんな」
「え、なんかゴメン」
「許してやらなくもない」
「上から目線きたし」
「上から目線ですがなにか?」
「ほんっと可愛くない…」
「可愛くなくて結構、俺男だし」
「まじで可愛くない…」
「うるさい」
「うるさくないし」
「うるさいんだよ気づけばーか」
「うるさくないもん、ばかはそっちでしょ」
「俺は馬鹿じゃない」
桜「ばか」
白「ばーか」
桜「ばかばか」
白「ばかばかばか」
桜「ばかばかばかばか」
白「ばかばかばかばかばか…っていつまでやんだよこれwww」
「んふふ知らないw」
「知らねぇのかよw」
「うん(真顔)」
「あのさ、急に真顔になんのやめてくれる?」
「めんご」
「反省してんの?」
「反省してまーす」
「あっそ」
「聞いといてなにその態度」
「しーらね、自分で考えろ」
「ムカつく…」
「ムカついてろ」
「うるっさい」
「うるさくねぇよ」
「うるさい!」
「うるさくねぇ」
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廊下を歩く白布
「トットットットッ…」
女子A「ねぇねぇそういえばさー、」
「ウチのクラスに白布くんっているじゃん?」
白布「ピク…」
女子B「あー、いるね、イケメンの」
女子A「そーそ、白布くんって彼女いんのかな」
女子B「わかんない、でもあんま人と仲良くしてないからいないんじゃない?」
女子A「だよねー…あ、でもあの子と仲良いじゃん?ほら、えーっと……」
女子B「あ、確か牛島さん?」
女子A「あ!その子その子!3年の牛島先輩の妹!」
女子B「あー、あの子と仲良いよねー。やっぱバレー部繋がりかなー」
女子A「わかんないけどまぁあんなの相手になんないよ。白布くんあんなやつに興味無さそうだし。」
女子B「あはは、だよね〜wwもう奪っちゃいなw」
女子A「うん、ありがとw」
白布「………クル…トットットット…」
振り返って逆方向に歩く白布だった
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