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朝から兄貴はおかしい
「冴、おはよおおおおおおお」
「おはよう。こっち来んな」
朝一番の挨拶とともに抱きついてこようとする兄貴に抵抗して、肘鉄砲を食らわせた。
「ヴッ!……これが冴なりの愛情表現なんだね……知ってるよ……!!」
床に悶えながらも、まだそんな気持ち悪い事を言える兄貴に呆れるしかない。
本当に大丈夫なのかこの人。
「そこ邪魔」
兄貴が倒れてて飲み物を取りに行けない。
兄貴はどいてくれるどころか、俺の足に絡みついた。
「うっわ何」
「冴の足はすべすべだねぇ……」
すりすり。
「気持ちわりぃから離れろ!!!!!」
「ひゃんっ」
怒りと気持ち悪さが頂点に達した俺は、しがみつかれている方の足を振り上げた。
兄貴が変な声を発しながら離れる。
「そんなに足が好きなら自分の足でも舐めとけ」
「何でそんな気持ち悪いことしなくちゃいけないの?……あ、でも、冴が可愛くお願いしてくれたら話は別かな?」
「……」
呆れてものも言えない。
「ていうか、早くご飯食べないと遅刻するよ」
誰のせいだと思ってんだコノヤロウ。
「ほら早く座って。あ、冴がサボりたいって言うんならお兄ちゃんも付き添うよ♡」
「んなわけねえそのポーズ気持ち悪いからあっち行け」
「ふふふ」
「なにがふふふだ気持ち悪い」
行動に限らず笑い方も気持ち悪いのか。
ダメだなこいつ。
なんでモテるのかさっぱり分からねえ。
「ていうか簡単にサボれないだろ」
「なんで?」
「え、いやだって、当たり前だし……?」
学校って行かなきゃいけないものじゃねえか。なんでサボるのか訳分からねえ。
きょとんとしていると、兄貴が急に悶え始めた。
「そゆとこ!そゆとこだよ冴えええええ」
「はぁ?」
「あーやばいかわいい、冴ってクラスでは地味系男子だけどほんとはこんなにかわいいのみんな気付いてないよねえ、うわあお兄ちゃんって役得〜!!」
「……???……とりあえず、飯作ってくれるか?」
「うん!作る!作るよ!!」
今度は速攻で料理し出した。
相変わらず変人だな。
ていうか本当に急いで欲しい。
遅刻しそうだから。
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