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五時間目、体育の時間がやってきた。
いつもなら昼ごはんを食べて眠くなる時間だが、体育で体を動かすので今日は眠くはならない。
「冴、ナイシュー!」
ゴールを決めた俺に、数人の声がかけられる。
サッカー部だから、このサッカーの授業は結構楽しい。
「冴ー、ちょっと手加減しろよー!」
「やだね!」
ブーイングを始めた相手チームの男子に叫ぶ。
体育教師はサッカー部顧問。
授業で手を抜いたとなれば放課後どやされるに違いない。
いや、手を抜くつもりは毛頭ないのだが。
サッカーするのは好きだから。
俺たちのチームの試合が終わり、他の奴らの試合があっている間休憩に入った。
そこでふと、朝の兄貴の言葉が思い出された。
今、俺がサッカーしてることは知られてるんだよな……。
俺がちら、と兄貴の教室を見上げると、誰かとバッチリ目が合う。
言うまでもない、兄貴だ。
最初から俺を見てたのか、目線があって手をヒラヒラしてくる。
兄貴窓際の席だったのか。
どうでもいいけど。
しばらく睨んでたけど、兄貴がふと前を向いて立ち上がった。
……ふん、どーせ、よそ見してたから教科書とかを読まされてんだろ。
ざまあみろだ。授業は真面目に受けろ(←昨日居眠りしてた人)。
「おーい、冴ー?また試合だろ、早く来いよ」
「おーう」
仲間に呼びかけられて、俺は走ってコートへと向かった。
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