無用の用途

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 昔はもっと余裕を持ってできたのに、僕は休みなく頭を働かせてまた一つ、成立した売買にOKを出した。そしてその傍ら、別の画面で購入する商品を探す。  僕はこれらを眺めるのが好きだ。だって僕にはないきらきらが詰まっているから。  そしてこれぞと判断した商品を購入する。中でも誰かと話をするものが選べたときは嬉しい。色んなことが吸収できるから。  電話は苦手だから音として言葉を交わすことはないけれど、画面上の文字だけだって十分に話はできるのだ。  数十分ほどすると、どこかの誰かと売買を成立させられた。  サイトでの売買契約数が、信用度を示す一つのステータスとなる。このアカウントでは似た商品を何度も購入しているから話が早かったのかもしれない。  僕は毎日いくつだってここの商品を買いたいのだけど、さすがにそれは無理だし怪しまれる。いわゆるサクラ扱いになりかねない。それは出品者にも申し訳ない。  だから管理人の権限を操作していくつかのアカウントを作って、それを定期的に使いまわしてやりとりをしているのだ。  僕は決済を済ませてからトーク画面を開いた。 『こんにちは』 『こんにちは』 『ありがとうございます』 『こちらこそ』『誰かと話したくて』 『じゃあとりあえず雑談ということで』 『はい』  次々と文字が上に流れていく。会話は慣れているようだ。
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