番外編3

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番外編3

  今日は鈴菜とお出掛け。 啓ちゃんのご両親に今日は夕飯お呼ばれしちゃったから嬉しい反面ちょっと緊張。 ちょっとじゃないか、それで悩んでいた事があったのだ…… まぁ手ぶらで行くわけには行かないのでお土産買わなきゃね! 「柚少し緊張してるでしょ?」 「え、わかる?」 「もろバレだよ、口数少ないもん今日の柚は」 「そっかぁ、気をつけよ!」 「え? その方がいいよ!」 「どうして?」 「柚って喋り出すと止まらないから! 少し大人しくしてたら本当にお淑やかな美人なのに」 「褒めてるように聞こえるけどディスってるよね?」 「う、ううん、そんな事ないって、あはは」 街の中を鈴菜と歩いてるとふと懐かしい匂いがした。 あれ? 今の人って…… 私が振り返ると向こうも振り返っていた。 「柚? 鈴菜?」 「あ、「由加里(ゆかり)」さん?」 この人は私達がウリをやってた時同じく私らと一緒に仕事していた人だ。1つ年上の先輩だ。 「ああ、やっぱり! 変わったわねぇ? 特に柚」 「お久しぶりです、そんなに変わりました?」 「ええ、昔の柚の方が素敵だった」 「柚は良い方に変わったんですよ?」 「そうかしら? 昔の柚は死にたがりでそれにお金に忠実で何より綺麗で私敵わないなって思ってたの、まさに冷徹嬢って感じで」 「なんか綺麗しか褒められてる気がしないんですけど?」 「そんな事ないわ、無謀な柚って危なっかしくてそれがとても輝いて見えたから。 今はそうね、綺麗は綺麗だけどそれだけかな」 「柚を変な方向に持ってかないでもらえます?」 「あら、鈴菜は柚にいつもくっついてた癖に何も思わないの?」 「いいよ鈴菜、もう行こう?」 「柚、貴方と鈴菜が抜けて今は私が1番稼いでるの。 柚と鈴菜がいるとどうしても2人に集中してたけど2人とも抜けてくれて良かったわ」 「結局嫌味ですか?」 「そうね、嫌味よ。 私貴方達が気に食わなかったの、特に柚、貴方みたいな子が今までしてきた事を忘れてそんなに幸せそうな顔してのほほんとしているのがね。 図太い神経ね、貴方って」 「あー、バカらしッ! 行こう鈴菜」 そして私達は由加里さんを振り切った。 失礼しちゃうわよね! 「ねぇ鈴菜、昔の私の方が綺麗だった?」 だが口から出たのはそんな言葉だった…… 「え? 柚さっきの由加里さんの事気にしてたの!? そんな事ないよ、今の柚は優しくて昔より凄く綺麗だよ?」 私ってやっぱり図太い最低な女なのかな? と由加里さんの言葉で改めてそう思わされた。 「そうかな…… でもありがと!」 「あまり由加里さんの事考えない方がいいよ? もう私達には関係ないしね」 「あー、鈴菜にそんな事言われるなんて〜」 そして私は啓ちゃんの家にお邪魔した。 「こんばんは」 「あら、噂の柚ちゃん、いつもタイミング合わなくてすれ違っちゃってたからようやくね! とっても可愛いじゃない、啓あんたやるわね!」 「うるさいな、騒ぐなよ。 柚入れよ」 「うん。 あ、これどうぞ!」 「気が効くわねぇ、まだ16歳なのに啓とえらい違いねぇ。 やっぱり女の子の方がしっかりしてるわね」 「おお、啓の彼女さんか、本当に美人じゃないか、今日はゆっくりしていきなさい」 「ありがとうございます」 そして啓ちゃんのご両親と夕飯を頂いた。 「柚ちゃんはいつから啓と?」 「そうそう、私も聞きたいわ」 「あの、その事について私謝らないといけません」 「え? どうしたの?」 「柚、いいよ、今日はその事は……」 「ううん、啓ちゃんダメだよ。 私は啓ちゃんに凄く迷惑をかけました。 何度か怪我をさせてしまいました。 その頃から私は啓ちゃんの事が気になっていました。それで啓ちゃんに何度も無茶をさせてしまいました、凄く心配をお掛けしたと思います。本当にすみませんでした」 「ああ、なるほど。 啓が無茶したのは君の為か。 そうかそうか」 私が謝ると啓ちゃんのお父さんが納得したような顔で頷いていた。 「啓が人のためにあそこまでする事なんてなかったんだ、よっぽど君の事が好きだったんじゃないか? なぁ? 母さん」 「そうねぇ、あの時は物凄く心配だったけど柚ちゃんの為だったんならねぇ、男らしいとこあるじゃない啓も」 「はぁ〜、はいはい、ありがとさん」 「それだけじゃないんです、私、私は……」 そして私は啓ちゃんのご両親に私がお父さんお母さんがいないこと、それに今までどうしてきたか、包み隠さずに話した。 いずれ分かるかもしれない事だ。私の印象が最悪になるかもしれないけど黙っているとこれから啓ちゃんとのご両親にちゃんと向き合えない気がしたからだ。 「そうだったのか、今まで苦労したんだね。 でも柚ちゃんがやってきた事はとても危ない事だ」 「はい、私は運が良かっただけでお父さんやお母さんもそんな事を望んでいないってわかってながら……」 「柚ちゃん、もうそんな危ない事はしちゃダメよ、今からだって十分やり直せるんだから。 それにね、寂しかったんなら簡単には思えないだろうけど私達の事家族だと思っていいんだから、ね?」 「え?」 「そうだね柚ちゃん、啓との事本気で考えているから話してくれたんだろう? だったらうちとしても柚ちゃんの気持ちに応えてあげたいからね」 「……はい、ありがとうございます」 私は啓ちゃんのご両親の暖かさに思わず涙が流れてしまった。 嫌われるかもしれないと思っていた、 そしたらどうしよう? とずっと悩んでいた、だけど受け入れて貰えた。 こんなに嬉しい事はない…… 「啓ちゃん、今日はありがとう。 啓ちゃんの家族ってとっても素敵だね、だから啓ちゃんもそんなに優しいんだね」 「改まって言うなよ、調子狂うな。 それにしてもよく言ったな、凄く怖かったろう?」 「うん。 だってもしそれで嫌われたら啓ちゃんともダメになるかもしれないって…… そしたら私本当にダメになるかもって。 でも言わなかったら私って好きな人の家族にずっと自分を隠して生きなきゃと思ったら」 「柚の気持ちが伝わってよかったな。 まぁダメだったら俺もそれはそれで柚に付き合ってやるつもりだったからな」 「え? 本当?」 「当たり前だろ? じゃなきゃとっくに別れてるだろ? 柚の事好きだって言ったよな?」 「啓ちゃん、私って幸せになっていいと思う? 」 「俺が柚に幸せになって欲しいって思ってるんだ、なってもらわなきゃ困るかな」 「…… 啓ちゃん、愛してる!」 「うわっ! だからいきなり抱きつくなって、って泣いてるのか?」 「うぅ、当たり前じゃん、嬉し泣きだよぉ……」
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