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四人目が、狩人。夜に一人を護衛して、狼の襲撃を防ぐことができる。ちなみに、自分自身は護衛できない。自分が狼に襲われたり、吊られる(昼に相談で処刑されること)ことのないようにしなければいけないのだ。
又、人狼陣営にも味方がいる。この配役では人狼は三匹存在し、毎晩一人を選んで食い殺していくことができる。その人狼に心酔し、人間でありながら人狼に味方をする人間が一人存在するのだ。その名も狂人。狂人は、占い師などのフリをすることで村を攪乱することができる。また、占われても霊能結果でも“狼ではない”という村人同様の判定が出るというのも最大の強みだ。ただ、狂人は狼=ご主人様が誰なのかを知ることができず、狼も狂人が誰なのかがわからないので注意が必要である。
残りのメンバーは全員、何の力も持たない村人。推理にて狼を探すのが最大の役目と言えよう。
――本来ならスリリングで、とっても楽しいゲームのはずなんだけどなあ。
何故、今私がこのゲームに、命懸けで参加しているのか。理由は単純明快――恋人の仁が、このゲームに参加した後意識不明になって病院に運ばれてしまったからである。
このゲームに何か原因があるのではないか。調査を開始した私は知ったのだ。人狼ターミナルネオ、此処で生き残りという椅子を取り合う、命懸けの勝負が行われていたという事実を。少し前までは、普通に人狼を楽しめる普通のVR空間であったはず。いつの間に、敗北陣営の意識が永遠にゲームに閉じ込められるような、恐ろしいゲームになってしまったのか。このゲームを乗っ取る者がいるならそれは一体誰で、何のためにこのようなことをするのか?
現時点でわかっていることは、一つだけ。
このゲームの内部で、裏のトーナメントが行われていたということ。勝利数ランキングが高いメンバーが集められ、“何でも願いを叶えてもらえる”大会に招かれるというのだ。裏の大会の存在を知る者達は、他の者達を踏み台にしてでもと必死でこのゲームに参加し続け、勝利数カウントを増やそうと躍起になっているという。
――反吐が出る話だ。でも……その大会に参加して優勝すれば、仁を目覚めさせることができるかもしれない……!
ゆえに。私は此処にいて、戦い続けているのである。
全ては愛する人を救うため。そして、真実を突き止めるために。たとえその過程で多くの人たちの意識を奪うことになるとしても――優勝すれば、その全てを取り戻すこともできると信じて。
参加者はみんな、動物などの名前と姿を与えられ、相手の正体がわからないようにカモフラージュされている。ウサギが私。今回の参加者は他にカメ、ニワトリ、イヌ、ネコ、サル、ゴリラ、ネズミ、イノシシ、トラ、ライオン、ヘビだった。
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