タバコ臭い箱の中で君を愛した

師が駆け回る紅白戦

赤チームに合流してみれば、笑い話を挟みながらも真面目にオーダーを決めているようだった。

このゲーセンでの紅白戦はチーム対抗の勝ち抜き戦で、今日の紅白戦は赤チーム8人と白チーム9人。

どうやら赤チームに今日の大会優勝者である僕がいるということで、割り切れず余った人を白チームに入れたらしい。

｢これで実質優勝の目はなくなっちゃったわ｣

｢まだ言ってる、勘弁してって｣

どうせこのあと家で夜通しゲームをするんだから、今更ここでどうこう言っても仕方ないのに……と思って、ふと考え直す。

そういえばナグサは、その時その場所でのみ意味がある称号にこそ、大きな価値を見いだすタイプだった。

表情を伺ってみると、なるほど今も少しだけ負けず嫌いさんが顔を出している。

大会優勝者に勝ったという称号が手に入らなくとも、 チームで負けるつもりは無いらしい。