師が駆け回る紅白戦

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「今日、なんで遅れたの?」 僕もタバコに火をつけて、缶コーヒーのタブを引いた。 唇を湿らせて、彼女に目線を向ける。 ナグサはこのゲーセンの常連で、とある格闘ゲームの全国大会の常連でもあった。 今日は今年最後の店舗大会で、彼女はバイト終わりに参加する予定だったのだけれど、エントリー締切直前に大会に行けないという連絡を僕は受け取っていた。 「バイトがひとりドタキャンして、代わりの人が来るまでひとりだったの」 ハーっと、ナグサはタバコの煙を吐くのとはまた違う大きな息を吐く。 つづいて「あ゙ー」という声。 1ヶ月ぶりくらいにタバコを吸って頭がクラクラしているらしい、いわゆるヤニクラってヤツ。 表情も不自然に緩んでいて、傍から見るとちょっと危ない人だ。
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