師が駆け回る紅白戦

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「まあいいんだ、いや良くないけど、いいんだ」 締まりのない声で彼女はそう言うと、またひとくちタバコの煙を吸い上げる。 穂先が赤く染まって、数ミリが灰に変わった。 「ヤスヒトが優勝したんだから、実質私の優勝みたいなもんだし」 「あー……うん、どゆこと?」 ちょっとよく分からない。 困惑顔の僕に、彼女は歯を剥き出しにする笑みを向け、こう言った。 「このあとの紅白戦で私が君を倒せば、実質今日の優勝は私だ!」 …………上等だ。
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