師が駆け回る紅白戦

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数分でタバコを吸いきって、ふたりで喫煙スペースを出る。 入れ違いに、紅白戦のエントリーを済ませた顔見知りが何人か喫煙スペースに入っていった。 この喫煙スペースは別に仕切りがあるわけでもなく、ただ単に大きな灰皿を置いて、タバコはこのゾーンで吸うように決められているというだけのもの。 煙は垂れ流しだし、ならば必然的に臭いも漏れる。 それでもタバコを吸う以外の人がこのスペースに居ないし、消し忘れもないから、ある程度の安全性は確保されていたりして。 これは個人経営ゲームセンターの、精一杯の努力の結果と言えるだろう。 「ナグサ、紅白戦のエントリーは?」 「もう来た時に済ませてあるよ、ぬかりなし」 「そりゃなにより、安心だね」 まだヤニクラでふわふわしているのか、少し足取りのおぼつかないナグサの腕をとって、手近なゲーム筐体前の椅子に座らせる。 ヒザの力をほとんど抜くように椅子に腰を下ろした彼女は、下から首を傾げて僕を見上げていた。 「僕はまだ紅白戦のエントリーしてないから、チャチャッと済ませてくるね」 「ん、行ってらっしゃい」 既にコーヒーを飲みきった彼女の缶を受け取って、僕は受付に向かう。 途中でゴミ箱にふたつの缶を捨てて、受付でエントリーを済ませたあと。 戻るついでに自販機で水を買って、彼女の元に戻った。
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