その5

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その5

上野 慎也(うえの しんや) 身長173センチ 体重63キロ 趣味 ゲーム 好きな食べ物 本格カレー 好きな動物 カワウソ よく見るテレビ ドキュメンタリー系 兄弟 ひとりっ子 最近はまっているもの 新月 花蓮 好きなタイプ 新月 花蓮 「とまぁお前のプロフィールってこんなもん?」 「え? 健斗ってそんなに俺の事気になってたわけ? 俺男は友達までだから」 「いや、俺じゃないんだけどさ。 そういえば美咲えりなって可愛くないか?」 「なんだよ唐突に? まぁ花蓮と双璧をなす可愛さだとは思うけどさ。 俺は花蓮の方が可愛いと思うわ」 ここに美咲が居たら花蓮に怒りの炎を燃え滾らせていた事だろう。 一応美咲のリクエストに応えて美咲をアピールすればするほど上野には花蓮がという言葉が付いてくる。 これはもうしばらく上野は花蓮に夢中だろ…… 無駄な努力だぞ美咲。 「えりなちゃんがどうかしたの? 上野君」 「うえ!? いや、なんでもないよ、健斗が美咲について聞いてくるからさ!」 「ふぅん、足立君っていつの間にえりなちゃんと仲良くなったの? この前も2人して居たし今日の朝も2人を見掛けたって他のクラスの子達も言ってたし」 「いや、たまたま通学路同じだったから居合わせただけだ」 ほうら見ろ美咲、お前の作戦全部空回ってるぞ? それどころかあらぬ疑い掛けられまくりじゃねぇか。 身から出た錆だ。自業自得だ、俺を貶めようとするからそうなるんだ。 「上野君!」 すると後ろから嫌な声が聞こえてきた。 そう、声の主は美咲だ。 そして美咲は上野の腕を抱きしめてこう言った。 「わ、私怖い…… いつの間にか足立君に言い寄られて断ったのになんでかみんなの噂になってるの」 青ざめてガタガタとこれ見よがしに震えてみせ、俺への軽蔑のこもった目線も忘れる事なく向けてくる。 おい、この野郎…… 「お前何適当な事ほざいてんだよ!」 「きゃあッ! 上野君……」 「健斗、お前って奴は……」 「え、えりなちゃん、落ち着こう? 上野君からとりあえず離れて?」 こいつの余計な演技のせいで教室全体がカオスな雰囲気になりそして俺に白い目線が向けられる。 ああ、こいつは本当に疫病神だ…… 周りからはヒソヒソと俺をディスる声が聞こえる、まだ美咲秘蔵の写真を見せていないのにもうブチまけられた気分だ。 この状況どうやって打破すれば…… 「えりなちゃん、上野君にくっつき過ぎ!」 「だ、ダメ! もっと…… もっと! ね? 上野君」 「ええ!?」 俺はこの場に居るのが居た堪れなくなり3人を連れて廊下に避難した。 そしてその瞬間にさっきまではひたすら上野にくっ付いていた美咲はパッと手を離した。 そして上野と新月は俺にどういう事だと聞いてきた。 そうだった、俺悪者にされてたんだ。 「おい! いい加減にしろ!」 「ん? 何が?」 「えりなちゃんさっきのは……」 「あー、ごめん! 私演劇の塾に通ってるんだ、上手かったでしょ? 私の演技」 上野と新月は演技? という顔をしているが真っ赤な嘘だ、こいつは上野に自分を印象付けようと上野に迫ったのだ、そしてついでに俺を悪者にして…… 美咲を見ると何のことですか? というような顔で素っ気なくしている。 めちゃムカつくわこいつ。 そして教室に戻り俺の誤解が解けるまでしばらく時間が掛かった。 その後昼休みになり俺は学食に行こうかと思って廊下に出ると腕をいきなり掴まれ引っ張られる。 またしても美咲だった。 「おい、お前のせいで散々だったんだぞ!? つかどこ行くんだよ?」 「いいから黙ってついて来なさい」 ズカズカと進む美咲の前に1人の男が立ち塞がった。そしてそいつは俺をギロッと睨んだ。 また変な事に巻き込まれるのは勘弁だからな…… 「えりなちゃん、こいつがえりなちゃん困らせてるって奴? 俺がぶっ飛ばそうか?」 おい! いきなり何言い出すんだよ!? さっきの事か? 本当に余計な事ばかりしやがって美咲の奴。 「大丈夫よ大野君、ほら? 今ではとっても足立君と仲良いの! この通り」 美咲は俺の掴んでいる腕を上げヒラヒラと振ってみせた。 なんて都合のいい奴なんだ、さっきは俺を悪者にして今度は仲良いだと!? 「え? じゃあさっきの噂は……」 「噂でしょ? 気にしない気にしない!」 噂の原因の張本人がよくもそんな白々しい事言えるな…… ポカンとする大野とやらを置いて美咲は更に進む、階段を上がる。パンツ見えても気にしないのな美咲の奴…… そして屋上に着いた。 またここかよ。 「さ、携帯出して?」 「なんで?」 「当然上野君の連絡先あるわよね? 私も上野君の連絡先を知りたいから、そしてついでに足立君をいつでも呼び出せるのもあるしね」 「嫌だね、さっきはよくも俺を悪者にしてくれたな?」 そう言うと「あら? でもさっき助けたじゃない? それとも本当に言い訳出来ないようにしてあげようか? 」 と携帯を見せて脅された。 くそ、どこまで性悪なんだこの女は…… 「よし! 完了と! ふふ、でへへ、上野君の連絡先が私の携帯に。 えへへ」 息が激しくなり顔を赤くさせて携帯を見つめる美咲はまるで発情期のようだ。 なんかこいつ一生上野に好きになってもらえないような気がしてきた。 「お前そんな性格で新月に勝てると思ってんのか?」 「もちろん! 私のこの美貌でね!」 「美貌は新月と互角でも性格に大きな差を付けられている事がわかってないようだな」 「性格? はッ、あんなろくでもないクソ女が性格良いわけないじゃないの! それにこんなに上野君を好きな私が花蓮ちゃんに負けるはずないでしょ? あ、それとね、今日学校終わったら付き合ってもらうわよ?」 何を根拠に新月の事叩いてんだ? てかこいつの付き合いなんてろくなもんじゃない…… 「どこに?」 美咲はニタァと笑い言った。 「秘密の場所……」
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