昔話をするとか、しないとか。

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 出雲大社のご神体は公にはされていないし、天皇といえど見ることはかなわない。  ちなみに、郷土史「雲陽秘事記(うんようひじき)」によると松江藩の初代藩主・松平直政が出雲大社に参拝した際に国造の制止を無視して御神体を見たところ、御神体は九穴の鮑(あわび)で、それがたちまち10尋(約18m)の大蛇に姿を変えたとある。  他にも源経頼の日記には七宝の筥とあったり、スサノオの巫女の記録も曖昧なものが多く、その姿形を明確に残してはいなかった。  その正体はこれからも公にされることはないだろう。  だから好奇心にかられる神威を、誰も責めることは出来ないだろう。  暗闇にも慣れてきて、神威は足を動かした。近づいても、黒い何かの正体は分からない。  その正体を見るべく、神威は部屋の中央に足を進めた。けれど、近くにいくとそれと目が合って、神威は体を硬直させた。
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