おみどう

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「絶対、やだ まともに聴かないし」 そのまま夏樹は言葉につまってうつむく。 夏樹の親は両親とも医者で 個人病院を経営していた。 一人娘の夏樹は 病院の後継として医者になるよう 幼い時から言われてきた。 でも、夏樹は 子供の頃から習っているピアノの道に 進みたい気持ちが年々、大きくなっている。 でも、親に 言えないでいる。 今年から 医学部志望専門の予備校にも行かされているが 夏樹には重荷で 成績も下がりがちだった。 「伝え続けたほうがいいよ 夏樹の人生は夏樹のものだもの」 「リアンが出来ること みんなができるとは限らないよ 私は…言えないことばっかり」 多分、自分は心が『男の子』で 『女の子』しか愛さないということも 夏樹はとっくに自覚してるが 誰にも言えない。 リアンにも。 2人が部屋を出ようと立ち上がった時 お御堂のドアを誰かがノックした。
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