おみどう

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「5時間目、化学室だよね」 「なんで知ってるの?」 「知ってるよリアンの時間割。 5時間目が移動教室の時だけ誘ってる 遅れても、目立たないから」 「そうだったの? じゃ夏樹も移動教室?」 「うん、三号館で合唱練習」 「…でももう、行かなくちゃ」 リアンは時計を見て起き上がりネクタイを締めた。 乱れた長い三つ編みを解き 櫛で梳かしてから 手際よく根本から編みなおす。 三つ編みが綺麗に出来上がると 櫛に絡んだ髪を丁寧に取って 左の人差し指の先に巻きつけた。 象牙細工みたいな 先細りの指先から外すと リアンの髪は小さな輪っかになっていた。 「それ、ちょうだい」 リアンはクスクス笑いながら 夏樹の小指に指輪のように嵌めてやった。 「塾、続いてる?」 「…もう行きたくない」 「そっか、やっぱり一回きちんと お父さんに話してみたら?」
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