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こんな早朝から一体誰だろう。
宅配便にしては早すぎるし、お隣さんも数十年前に引っ越しして以来ずっと空き家状態だ。
その他のご近所さんだって、わざわざ平日の朝から訪ねてくるような人は思い当たらない。
「ふふっ、はーい今出ます。」
首を捻っている傍らで、嬉々とした笑みを浮かべたママが玄関方面へと小走りするのを見た私は慌てて立ち上がった。
「ママ!私が出るよ!」
いつも抜けていて心配が拭えないママだけれど、今日は一段と様子が可笑しい。
心配だけでなく、何とも言えない不安も過った私は居ても立っても居られなくてママを追い越した。
駄目だよ。
もし普通の宅配便のお兄さんだとしても、ママが対応すると何らかのアクシデントが起きかねないよ。
「はーい。」
自分にそう言い聞かせながら、私はお気に入りのうさぎちゃんのスリッパを履いたまま玄関の戸を開いた。
朝陽が照らす外の眩しさで、一瞬目の前が白んだ。
やがてすぐに明るさに順応した私の瞳に映り込んだのは……。
「林檎ちゃん、おはようお迎えに来たよ。」
「え…。」
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