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先生は私が今日ここに来た理由くらい察してるくせに、その話をしたくないのか私を焦らす。
だから、私の方から答えを催促した。
「先生。私もう卒業します。だから答えをください。私を愛せないその理由を」
懇願するように膝を落とした。視界が少しだけ歪む。
「先生…」
掠れた惨めな声は校舎に吸い込まれていく。
私にとってその言葉を発するのは勇気がいる事だったんだ。
数日前の出来事を反芻する。
揺れるアイボリーのカーテンが先生を隠したその瞬間に、私が零した言葉。
ずっと言いたくて言えなかったこと。
「先生は今、誰を見ていますか。私先生のことが好きです」
はやく、はやく私の告白の答えが欲しい。
答えはなんとなく予想が着いている。それは教師という立場を利用したものだろう。
私はそんな答え求めてない。今更そんな壁は通用しない。
先生はいつも私を通して誰かを見る。うつろな瞳に映る私じゃない誰か。
きっとそれが本当の答え。
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