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ホテルのレストランで軽めの食事をとった。昼時にもかかわらず、客は僕一人だった。ウェイトレスの中年女性は僕のことなど一切気にかける様子もなく、ひたすらタブロイド版の古そうな新聞を読んでいた。
窓の外のフエの街は雨に霞んで輪郭がはっきりしなかった。こういう日はホテルでダラダラ過ごすのもいいかも知れない。雨の日の撮影は正直億劫だ。でも僕は部屋へ戻って、カメラバッグを開き、空のままだったカメラにモノクロフィルムを装填した。雨音は先ほどに比べると随分穏やかになっているようだ。
雨の日は雨の日にしか撮れない風景がある。それと同じように、弱さを抱え、自覚した人間だからこそ見える風景もあるはずだった。少しネガティブな考えかも知れないが、今の僕にはそれしかなかった。
少しずつ進んでいけばそれでいい。
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