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その後が凄まじかった。車内にいた僕以外の乗客が、大人から子供まで一斉にサトウキビをかじり始めたのだ。運転手や車掌までもが、それに乗じている。それは僕が未だかつて見たこともイメージしたこともない異様な光景だった。老若男女全てのベトナム人は、げっ歯類並みの研ぎすまされた歯と、エラの張った強靱な顎を持っている。僕はそう確信した。
彼らの白い牙が、五十センチほどのサトウキビを粉砕するのに要する時間は十分もあれば充分だった。いつの間にか車内の床は、サトウキビのかじりカスで見事に隙間なく埋めつくされていた。床に置いてあった僕の荷物、そしてあのニワトリもカスまみれだった。僕もニワトリも黙ったままその光景を見守った。
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