駄々

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「だからそこをなんとかしてよ!」 「いや今は外出自粛が……」 「だからなんなのよ!」 「いやだから人目が……」 「あたしと腕組んで歩くのが引け目に感じるですってぇ!!」 「いやそういう意味じゃ……」 「彼女がこんなに困ってるって言うのに……うぅ」 「イヤちょっと待って……」 「あたしの彼氏は頼りにならない……」 「ちょっと待って!!」 「あああ……外の空気が吸いたいなあ……」 「……窓を開けるとか……」 「ん?……今なんか言った?」 「いえ何も言ってませんハイ……」 「だよねえ……落ち込んでる彼女に突き放す様な言葉投げかけたりしないよねあたしの優しい彼氏は‼」 「も、もちろんじゃないか!……」 「折角のいいお天気なのに……」 「連休はどこも込み合うからさ……」 「まあそれはそうだけど……」 「こんな時出掛けたらかえって疲れるだけで……」 「うれしい、あたしの身体心配してくれるんだ」 「当然じゃないか!」 「嬉しい……」 「だからさ……今はお出掛け控えた方が……」 「結局話をそこに持って行きたい訳ね…………」 「あの……俺の話しちゃんと聞いてる?」 「飽きちゃったんなら言って……他に好きな子出来ちゃった?」 「ちょ!」 「折角彼氏出来てこれから楽しい高校生活始まると思ってたのに……」 「待って待って!誤解だ誤解!!」 「だったらなんとかしてよ!」 「そんな事言われても……」 「なによ優柔不断!!」 「いやそれは流石に言い過ぎじゃ……」 「何言ってんのよ!彼女のぼやきを受け止めてくれるのが優しい彼氏でしょ!!」 「確かにその言い分には俺も同意するけど……」 「解ってるんなら聞いて!」 「は、はい」 「まだまだぼやき足りないんだから、小一時間ぼやくから付き合ってね」 「こ!一時間~?」 「何?彼女の言う事に文句でもある訳?」 「め、滅相も無い……」 すみません、嬉しいんだか悲しいんだかわからない不思議な気分なんですが。
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