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春のある日のこと、店のドアが「かちゃん」と開き小さなねずみがやってきました。 「こんにちはラッタルと申します。友達から噂を聞いてやってきました。」 ラッタルは小さくおじぎをしました。 「噂を聞いてやってきたのですか、ありがとうございます。今日の気分はどうですか?」 ディネロは優しく問いました。 「今日は歩いてきたのでとても疲れています。リラックスをしたいです。」 ラッタルはディネロが「どうぞ」と案内した席に座りました。 「では、いきますよ。」 ディネロはピアノの椅子に座り、ピアノを弾きはじめました。 ラッタルはうっとりとして目を閉じました。 ディネロがひいたのは、ゆっくりと体を優しく包みこむような曲です ラッタルは自分が花畑で蝶々とおどったり、遊んでいるような気分になり、不思議と疲れがとれて体が軽くなりました。 やがて曲が終わると、ラッタルはゆっくり目を開け 「とても素晴らしかったです。花畑にいるような気分になりました。」 と言って深々と頭をさげおじぎをしました。 「お代はどんぐり一つです。」 ディネロが言いました。 「はい、どうぞ。」 ラッタルはどんぐりを一つだし、帰っていきました。
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