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冬
『音楽屋』の冬のある日。
今週は全然お客様が来ません。みんな春にむけて、冬眠しているのです。
ディネロはこたつで温かいお茶を飲みながら、新聞を読んでいました。
大きな文字で〈総理大臣、決定!〉と書かれています
ディネロはその記事を読んでみました。
『選挙の結果は、ライオンのレオン様が3346票!ワニのリトルノ様は3286票!
ネズミのチュリス様は2876票!総理大臣はレオン様に決定!』
ディネロは心の中で「やったぁ!」とガッツポーズをしました。ディネロはレオン様に投票したのです
ディネロは他の記事もみてみました。
『レオン様が車で来る!12月△日』
書かれていた日付はなんと今日です!ディネロは(どうせ暇だから見に行こう)と思いました。こたつから出ようとしたその時、ドアが「かちゃん」と開き人が入ってきました。
その人はなんとレオン様です‼️‼️
「おや、この時期にお店とはめずらしい。」
レオン様はディネロの前にきて顔を近づけたので、ディネロはあまりの迫力にひっくりかえりそうになりました。
「わ、私はディネロと申します❗️」
ディネロは緊張して声が変になってしまいました。
「焦らないで落ち着いて。ここはどんな店かな?」
「こ、この店はどんぐり一つで自分に合った曲をきける店です!でも、どんぐり0個でいいですよ。」
ディネロは落ち着いてと言われても、とても落ち着けません。
「いやいや、不公平は嫌だ。どんぐり一つはらわせて。」
レオン様はディネロに案内された席に座りました。
「今日の気分はどうですか?」
ディネロは少し緊張しながら問いました。
「総理大臣になって、取材に疲れたよ。疲れがとれる曲がききたい。」
「かしこまりました。」
ディネロはピアノの前に座りました。
「では、いきますよ。」
曲が始まったとたん、レオン様はうっとりと目を閉じました。
ディネロがひいた曲は、雲に乗って大空を飛んでいるような曲でした。
曲が終わるとレオン様はゆっくり目を開けて、言いました。
「とても素晴らしい、これがどんぐり一つとは。テレビにだしてあげようか?」
「いえいえ、私はぽつんと一つだけ建っているようなのが好きなのですよ。」
レオン様は少し考えてから言いました。
「ならば、求人をだしてはどうかな?少しでもにぎやかなのはいいと思うよ。あと、お店にかざるサインをあげるよ。」
そう言ってレオン様はペンと紙をだし、サインを書きました。
「ありがとうございます!」
レオン様はどんぐりを一つ出して帰っていきました。
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