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そして今日、瑞樹は毅から相談を持ちかけられ、営業を終えた自分の店に、彼を招き入れた。
「毅に彼女ができたときも驚いたけど、今度はプロポーズか。彼女さんとは、どれくらい付き合ってるんだっけ?」
「5年だ。同棲して2年。互いに仕事にも慣れてきたころだからな」
「なるほど。フフフッ。いいねぇ、親友の大事な一大行事に、関われるなんて光栄だよ」
毅は顔をしかめるが、それは照れた証。長いつきあいの瑞樹は、気にすることなく笑い続ける。
「それで、きみの用事はなんだっけ?」
「だから、プロポーズに使う花を選んでくれって言ってんだよ!」
ダンッと力強くテーブルを叩く毅。
「あぁそうだった。ごめんごめん」
「ったく。で、花なんだが、バラ以外で頼む」
「おや? なんで? プロポーズと言えば百本の真っ赤なバラの花束でしょう?」
瑞樹は首を傾げる。
「だからだ。一般的なものだと、味気ない」
「ロマンチスト」
「うるさい!」
毅の照れる様子に、瑞樹は笑う。
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